東京大学筧康明研究室 xlab は、今年度の研究成果、プロトタイプ、そして作品を一堂に紹介する「xlab Showcase 2026」を、2026年2月20日(金)〜22日(日)の3日間、東京大学本郷キャンパス・工学部2号館にて開催いたします。研究・作品の展示に加え、ラボメンバーによるポスターセッションやゲストを招いたトークイベントも実施し、多角的な議論を深めます。
今回のテーマ “This is not ice — これは氷ではない” は、ルネ・マグリットの代表作《Ceci n’est pas une pipe(これはパイプではない)》に着想を得ています。描かれたイメージが実在そのものではないように、私たちが「実在」と呼ぶものも、またあらかじめ独立した個としてそこにあるのではなく、環境・物質・人・情報といった多様なエージェンシーが相互に作用しあうプロセスのなかで、絶えず立ち現れ続けるものだと考えられます。
例えば氷はしばしば「固く、動かないもの」の象徴とされます。しかし実際には、「まだ」氷ではない前段階の兆し、「もはや」氷ではない移ろいの余韻、「今、まさに」氷であろう(あるいは、なかろうとする)とする瞬間、といったプロセスにまたがり、周囲の気温などと共に絶えず変化を続けています。こうした視点から私たちは、物質(マテリアル)を単なる道具や客体ではなく、環境と共に変化し、生成し続ける共創的な存在として捉え直します。
さらに、本テーマの “not” と “ice” を重ね合わせることで、“notice(気づき)” という語が立ち上がります。これは xlab の研究活動を貫く重要な視点です。物質が予想を超えて異なる表情を見せる瞬間、従来の理解がわずかに転じる気配、人間とMore-than-Humanとの関係がそっと組み替わる揺らぎ——こうした「気づき」と向き合い、デザインすることで、世界の見え方が静かに、しかし着実に更新されるようなアウトプットを目指しています。
ぜひ会場にて、さまざまな素材や物質を通したマテリアル・エクスペリエンス・デザイン実践の今を、そこに潜む数々の「気づき」とともに体感してください。