This paper introduces Dynamic 3D Printing, a fast and reconstructable shape formation system. Dynamic 3D Printing can assemble an arbitrary three-dimensional shape from a large number of small physical elements. Also, it can disassemble the shape back to elements and reconstruct a new shape. Dynamic 3D Printing combines the capabilities of 3D printers and shape displays: Like conventional 3D printing, it can generate arbitrary and graspable three-dimensional shapes, while allowing shapes to be rapidly formed and reformed as in a shape display. To demonstrate the idea, we describe the design and implementation of Dynablock, a working prototype of a dynamic 3D printer. Dynablock can form a three-dimensional shape in seconds by assembling 3,000 9 mm blocks, leveraging a 24 x 16 pin-based shape display as a parallel assembler. Dynamic 3D printing is a step toward achieving our long-term vision in which 3D printing becomes an interactive medium, rather than the means for fabrication that it is today. In this paper, we explore possibilities for this vision by illustrating application scenarios that are difficult to achieve with conventional 3D printing or shape display systems.
近年、3Dプリンターをはじめとするデジタルファブリケーション技術は、製造業におけるプロトタイプ作製ツールという枠を超え、デザインや教育、福祉など多くの分野にその技術が応用され始めています。
しかし、特に3次元物体を出力する際には、造形に時間がかかる点、また、一度造形してしまうと、粘土のように即興的に作り直すことや素材を再利用することができない点が課題となっていました。そこで、本研究では、瞬時に立体を造形でき、かつ素材が再利用可能な「ダイナミック 3Dプリンティング(動的な3次元立体造形)」を提案しました。この方法では、小さなブロック状の材料を縦横に組み立てることで、任意の3次元形状を瞬時に造形することができます(例:縦、横、高さがそれぞれ10センチメートル程度の大きさの3次元物体を数秒から数十秒で造形可能です)。
これまで、小さなブロック状の部品を組み合わせて動的な3次元形状を造形する手法としては、ロボットアームなどで積み木を組むようにブロックを重ねる手法が提案されていますが、1つのロボットでは、組み立てにかかる時間がブロックの個数に比例して増えるという制約があります。またブロック自体が動的に動き、全体として形状を変えるような自己組織構成型の小型ロボットによる手法も提案されてきましたが、各ブロックが数センチメートル以上と大きくなってしまう点や、組み立てに時間がかかる点、また個々のブロックのコストが高くなるという制約がありました。
今回のダイナミック3Dプリンティングでは、装置内に積み重ねられたブロックを、2次元状に並べられたリニアアクチュエーターアレイを使い上向きに押し出し、ブロック同士を自動結合させることで高速な組み立てを実現します。出力される3次元物体の断面を1層ずつ一度に押し上げて造形でき、1層あたりの出力時間は1秒未満となるため、数層程度の3次元物体を数秒から数十秒で造形することができます。また、必要がなくなった物体は、押し下げることでブロック同士の結合が離れるので、素材の再利用が可能になります。
本研究では、この提案手法のプロトタイプとして、9ミリメートルサイズのブロック約3,000個を使い、任意の3次元形状を数秒から数十秒で出力できる3次元物体造形装置Dynablock(ダイナブロック)を開発しました。個々のブロックには磁石が埋め込まれており、ブロック同士は水平方向および垂直方向に結合できます。ブロックは8層にわたり積み重ねられており、24×16個のアクチュエーターで下から押し出されます。リニアアクチュエーターの周囲に取り付けた仕切り板により、装置内では水平方向のブロック同士は結合されませんが、アクチュエーターによりブロックがステージの上に押し出されることで、仕切り版を離れ隣同士のブロックが磁力により結合されます。垂直方向には水平方向よりも弱い磁石を埋め込むことで、ブロックが押し下げられた際に、結合が切れる仕組みになっています。こうした仕組みにより、机や椅子といったものから、飛行機のような形状の3次元立体を10~20秒で出力できます。また、今回提案する手法では、より小さな磁石を使うことで、個々のブロックを現在のデザインのままで3ミリメートルまで小さくすることが可能です。
ダイナブロックの特徴を活かし、ものづくりにおけるプロトタイプ作製やデザインの高速化への応用が期待されます。今後は、個々のブロックの内部にセンサーやLED、ICチップなどを組み込むことで、周りの状況に応じて色や質感や形が動的に変わるような 機能性をもつ物体の造形や、造形時間のさらなる高速化による、3次元実体ディスプレイへの応用を目指します。